モノ に頼るも良し(子ども英会話講師 )


モノに頼らず、個々の想像力を生かして自己表現を行う事の大切さを知ってほしい。だから モノ を使っての活動はしばらく積極的には行っていなかった。
 
しかし、ある生徒(S)の行動をきっかけにモノに気持ちをのせて表現する事も大切な表現方法のひとつだと、改めてモノの存在の大切さを知った。
 
中には、身体表現をためらう生徒もいる。そのような生徒にいくら身体を動かしたり、ことばを発して表現してみようと促したところで、即、そのような行動がとれるわけではない。
 
本人が理解出来ていることがどのようにしたら相手に伝わるか。Sにとっての一番の表現方法を、さまざまなしかけで探っていた。
ある日、振り付きの歌をうたうときに、教室にあった人形を持たせてみた。
すると、”Jump、Run、Turn around、Swim”など、様々な指示にその人形の手足を激しく動かして完璧に反応してくれた。
ずっと、心の中ではたくさん動き、うたい、一緒に楽しんでいたという事が証明された瞬間だった。
その後、時々人形やぬいぐるみを活躍させている。
ある日、“Skip” の声かけにぬいぐるみをスキップさせているつもりが本人が思い切りスキップをしていた。
自分の身体を、与えられた指示に対して自然と反応させた瞬間だった。
 
 
 
省察
 
 
授業中にふと人形を持たせたのはなぜか。
まず頭の中にあるイメージをそのまま伝えられる手段は何かを考えた。
絵をかくこと、だと時間がかかり、心の中の想いを同時進行では表現できない。
時々使用している、いつも目にする場所に置いてあるぬいぐるみを使うこともできたはずだが、如何せん手足がとても短いため走ったり泳いだりといった操作がやりづらい。
走ったりできるモノは?
と考えた時、物置の奥底にしまってあった、何年も使用していなかった人形を思いつき、とっさに取り出した。
それがSにヒットした。
表現の仕方へのこだわりは、私の子ども時代と重ね合わせていた事にある。小学6年まで、ごっこ遊びを通して、人形に気持ちをのっけて自分の心の中を表現していた。
この経験がSに人形を持たせてみたきっかけとなった気がする。