箇条書きリフレクションの提案(上條晴夫)

あるベテラン教師が「芸能史にたとえると、いまの状況はテレビが入ってきたあたり」に似ていると書いていました。テレビが芸能界に入り始めるとテレビはやりにくいと言って寄席にこだわる芸人と、テレビを上手に使う芸人に分かれたといいます。

テレビをうまく使った芸人の代表が萩本欽一さん。読者投稿ハガキを使って、双方向性を実現して、テレビの弱点である一方向性を克服して成功したといいます。Zoom でチャット欄を読み上げながら参加者とその場でやりとりする手法と似ています。

一昨日参加したオンライン「模擬授業を楽しむ会」では慣れないと窮屈さを感じる画面を逆に遊びにしていました。「条件指定のモノ(例:赤い)」を画面の外から持ってこさせたり、ブレイクルームで一対一のジャンケンをしてパッと帰還させたり。

withコロナのいま、教育の新しい進化の種である「オンライン授業」をテーブルの上に置いて、そこで起こっている現象をじっと観察しています。できるだけいろいろな現象の動きを(できるだけ価値判断を加えずに)見守りたいと考えています。

①「絶対無理!」と好きな釣りに出かける

②リアル授業の再現はやりにくいなぁと腕組みをする

③「オンラインは所詮リアルの劣化版」とマウンティングする

④オンラインでも「こんな工夫できます!」と教材開発を楽しんじゃう

⑤「誰でもやれる★オンライン授業」をプレゼンしまくる

⑥オンデマンドでYouTuberデビューを自慢する

⑦双方向型オンライン授業に没頭する

⑧職員室が同期派と非同期派に真っ二つになる

⑨オンライン一日学校プロジェクトをスタートさせる

⑩ICT活用の教育思想をクールに語る

いずれにも強い人間臭さを感じます。つい自分の「価値」(こだわり/好き嫌い)が顔を出して価値判断コメントをしたくなります。しかしどの現象がこれからの進化にとっての大切な可能性になっていくかは未だ確定的ではない時期かなと思います。

自実践を自らの価値で掘り下げる「場面描写リフレクション」という通常リフレクションの前段階として気づきを箇条書きする「箇条書きリフレクション」を提案しています。 ①体験を通した気づきをできるだけたくさん箇条書きする。②書くときは体験の順序やカテゴリーは気にしない。③少し言葉を整えて対話ツールとして活用する。

この箇条書きリフレクションの良さは自分の中のティールな気づきに意識が向くことです。平時における場面描写リフレクションは「自己一致の原則」に基づく深掘りに良さがありますが、箇条書きリフレクションは「広く見る見方」を促します。

複雑系科学の知見に従うと現在のような<技術爆発期>には「はじめにめざましい変形」がしばらく続いた後「細かい改良に行き着く技術的進化」になると言います。環境としての変形をできるだけ広い視野で見ていく技を駆使する必要があります。